ワインCA - ファットに関する1考察。カリフォルニアのワイン生産地から白ワインと赤ワイン、ワインと料理、チーズとの相性まで。  

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- ファットに関する1考察 -

近頃、食品のパッケージには指定期限を過ぎると腹痛の恐れがあることや、ビタミンなどの栄養物質が紛失される恐れ、さらには発ガンの危険性から発ガン予防など、栄養分に関するさまざまな表示がされています。それほどまでに食事から得る健康が重視されている時代、脂肪分の多量摂取から発病すると言われている心臓病を防ぐために、低脂肪製品が用いられるなど、食品の時代は大きく変わり始めています。

ここで“脂肪”について改めて考えてみると、脂肪分の多い食べ物というのは、高級なものに多く、新鮮な脂肪分がたっぷり含まれたフォアグラは今や高級の絶頂を行く食べ物ですし、良質のアイスクリームは安いものより脂肪分が多いのはもう誰もがご存知のこと。またベルギーのチョコレートは脂肪分が多いココアバターを加えているからこそおいしいと有名です。

 宗教でいうと、ブードゥー教などは神に脂肪の多いものを捧げていたそうで、信者の、特に上層部の人は奉納した、脂肪の多い高級なものを食べるがために、太った人が非常に多いそうです。また、かつてアダムの息子のエイベルは神に自分の信徒の脂肪を捧げ、ユダヤ人の祖先のアブラハムはバターを提供し、ヒンズー教は炎にバターを注いだと言われ、西アフリカではシュロの油を神聖な地面に注いだそうです。それほど脂というものは上等なものとして取り扱われていました。

 “脂肪を取る=太る。だから脂肪は控えよう。”というのは、今や誰もが思うことですが、かつてヨーロッパでは、太った人が讃えられていた時代がありました。それを象徴するのがホルベインの、ヘンリー8世の王室の人々の肖像画です。この肖像画の中ではチューダー調のパワフルな装いをした王室の人々がみんな太鼓腹なのだそうです。

 その他にも太った人と痩せた人を比較した、いろんな話が昔から伝わっています。例えば、シェイクスピアの小説の中では太った人はすべてに裕福さを感じ、細い人は生活に不満をを感じているのだ、と言われ、エミル・ゾラの有名な小説“The Belly of Paris”では、登場人物の太った女性を「彼女のとても美しく、大きく、丸いところが、心地良さを与える。」と描写しながらも、実際に太っ女性は卑劣で、その女性の痩せた義兄弟は高潔とするなど、これらの時代にはこの二つの要素を敵対させ、何かと比較している傾向にあったようです。そしてゾラの小説とは裏腹に、太った人間は「何かを持っている。」痩せた人間は「持っていない。」という取り方の方が圧倒的に多かったようです。

 しかしながら、これらの時代とは裏腹に、近年ほとんどの国で太るのは痩せるのより簡単だと言われ、それゆえに、いつしか、“痩せていることがいい”と言うような観念が生まれ、ポテトチップスにしてもジュースにしても、そして肉までもが低カロリー、低コレステロール製品を販売しているわけです。これらの風味は決して元のものより良いとは言えません。しかし、特に女性などは、目の前に高カロリーの従来のポテトチップスと低カロリーものを並べられた時、従来の物の方がおいしいと分かっていても、つい低カロリーものを選んでしまいます。

 さて、この太るもの、高カロリー、高コレステロールの代名詞として挙げられる肉ですが、そもそもこの食用肉の飼育というものは、9000年前、ギリシャで野牛を飼育したことから始まりました。何故当時の人々が野牛を食用肉として選んだかというと、野牛は脂肪分が多かったからにほかなりません。また地中海近辺では7000年前からイノシシの飼育が始まっています。こちらでもやはり、豚肉の脂身と性質が似ていることからイノシシを飼育し始めたと言われています。さらにこれらの時代に開拓地で上等品として好まれていたのが脂肪分を多く含んだ熊の肉だったそうです。人間にとって肉の価値というものは、いつの時代も脂身の良さを基本に決められていたわけです。

 このように、9000年前から始まった食用肉の飼育は、現在では世界に広まり、各国で国産牛が飼育されはじめました。そしてその中で最も高級で脂身が多く、おいしいのが日本牛なのです。日本産の食用牛の飼育は随分研究されていて、家畜牛は米を食べ、ビールを飲み、マッサージを受けるそうです。それによって、栄養のある、質の高い肉となり、さらに軟らかさと脂身が増すわけです。

 話はもとに戻りますが、このように食用肉の飼育化が進んだ一方で、食品からの健康が重視れている現代、肉、特に肉の脂身は、発ガン性や心臓病を引き起こす原因とされ、特に太った人は肉の摂取量を制限させられたりと、昔のように“食べたいから食べる”“おいしから食べる”というわけにはいかなくなっています。同時に同じ脂でも体にいい脂と悪い脂があることが発見され、コーン油などでできた野菜油が売れはじめるなど、健康食品化はますます発展していく勢いです。しかし“食べている時と寝てる時が一番幸せ”という言葉もあるように、食事がもたらすあらゆる環境にとらわれず、たとえ太ったとしても、食べたいものを、おいしい!と思いながら食べれることが、健康であり、幸せなのだということも忘れないようにしたいものです。



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