- アメリカ料理史 -
前世紀、1860年代にサンフランシスコで飲まれ出したのがカクテルの王様マティーニ。20世紀も1920年代に入ってから一気に大流行しました。ミニスカートに一大ブームが巻き起こるなど、アメリカ人の開拓者精神もカジュアル化、人々がバーやナイトクラブに出かける機会が増えるにしたがってカクテルは一般的な飲み物となりました。今日のように新鮮な野菜がいつでも手には入らなかった当時。新鮮なレタスのサラダのかわりに、缶詰のパイナップルをゼラチンに入れて冷やしたのが、サラダとして出されたりしました。マヨネーズをたっぷり使ったサラダも流行。発明精神旺盛なアメリカ人、フルーツとナッツをマヨネーズであえたワルドルフサラダなども食卓に出現しました。
1930年代に入ると、大恐慌のあおりを受けたのか人々は質素な生活をするようになり、当然のごとく食生活もきりつめられるようになりました。しかし食卓はつらい時代をきりぬけるための大切な家族の憩いの場所となり、クリームチキンにビスケット、グリーンピース添えといった伝統料理などがよく食べられました。ワッフルや、スウィート・ポテト・パイなどができたのもこの頃です。
1940年代、ホーメル社から肉の缶詰スパム(圧縮したゼラチン状の豚肉)が登場。手軽な値段と味の良さで、アメリカ一般家庭の食卓のマストアイテムとなりました。そこでスパムを使った料理をひとつご紹介します。
スパムの上に、マスタードとホイップ・クリームをぬり、ゼリーで固めた缶のフルーツをのせます。今日でもなかなかいける一品です。ちなみにハワイではスパムを使ったおにぎりがあります。
グッドオールドデイズと言えば1950年代。アメリカ経済の大繁栄にともない、食卓に出てくるステーキの肉質もグレードアップ、ホームパーティーやバーベキューがはやりました。TVも急速に一般家庭に浸透、いわゆるTVディナーも流行し始めましたが、人々のグルメ思考も高まり、ロブスターやチキン・ディバンの様な贅沢な料理も食卓を賑わせました。アイゼンハワーの時代に大人気となったトマトアスピックは、ウースター・ソース、タバスコ、セロリ、レモン、トマトジュースとゼラチンを混ぜて固め、冷蔵庫で冷やしたものです。今日でも感謝祭の時などによく出る料理です。
1960年代に入ると、アメリカの50年代以降の食文化にもっとも貢献した1人と言われる料理研究家のジュリア・チャイルドが、テレビの料理番組でフランス料理を紹介し始め、アメリカ人のグルメ思考もいっそう強まりました。エメンタール、グリエールなどの新しいチーズなども一般化し、それらをにんにくと辛口の白ワインでとかしたフォンデューが人々の食卓を飾りました。
俗にミー(ME)時代と言われる1970年代。ヒッピー文化、反戦運動など人々が自分自身を主張した時代です。この頃ブランチが大流行し、人々はクレープやキッシュに舌づつみをうち
、アルマデンマウンテンの白いシャブリを楽しみました。グラノーラ、ヨーグルトなどの健康食品も盛んに食べられ、人々が健康に気を使い始めました。
21世紀を間近に早くもデカダントな雰囲気が人々の意識の中に漂い始めた1980年代。カリフォルニアンを中心に人々は過剰なまでに健康や肥満に気を使いだし、ローカロリーフードやノンファットフードがマーケットに並びました。南部風な料理や、キウイなどのエキゾチックなフルーツも流行し、特にそれまでミートボールスパゲッティの独壇場だったイタリア料理が一大ブームとなり、特にパスタはイタリアンだけでなくどこのレストランのメニューにも置かれるようになりました。
いよいよ1990年代。これまでアメリカン・コーヒーが主流だったコーヒーの世界に、スターバックス社がブランドコーヒーを紹介し一大ブームに。それとともにカフェも大流行。コーヒーとビスコッティを楽しむ人が増えてきました。カプチーノ、エスプレッソ、マッキアート、アイスドモカなど様々なグルメコーヒーが普通の飲み物になりました。
さて、そして1990年代も後半、いよいよ21世紀を迎えるわけですが、これからどんな料理に人気が出るのか、どんな流行が起きるのか楽しみなところです。